セラミックのクラウン(被せ物)を装着し、歯並びを治すのがセラミック矯正と呼ばれる治療法です。歯を動かさないため、正確には矯正治療の一種ではありません。

クラウンを被せるため歯を削る必要があり、場合によっては健康な歯なのにもかかわらず神経を抜かなくてはならないことも。

歯に被せるセラミックのぶん、歯を削る必要があり、歯の傾きや位置によっては神経を抜く（抜髄）場合もあります。抜髄してしまうと神経とともに血管も抜くため、歯に栄養がいかず割れたり欠けたりしやすくなります。

もちろん、神経がないので痛みを感じず虫歯になっても気付きません。このため、抜髄した歯は健康な歯に比べて寿命が短くなります。

歯の表面はエナメル質という硬い組織によって、内側の象牙質や歯髄を守っています。しかしセラミック矯正で歯の表面を削ってしまうと、歯を守っているエナメル質が無くなり、細菌に感染しやすい状態になってしまいます。

また、セラミックのクラウンをどれだけ精密に製作しても、歯との接着面に隙間ができます。その部分にプラーク（細菌の塊）が溜まることで、虫歯や歯周病を発症しやすくなるのです。

セラミック矯正は歯を動かさない治療なので、歯並びや噛み合わせは乱れたままです。そのうえでセラミッククラウンを装着してしまうと、歯やクラウンに大きな負荷がかかりやすくなり、破折や割れ、脱落しやすくなります。

また、噛み合わせが悪いと顎関節やお身体のバランスにも悪影響を及ぼします。歯並びや噛み合わせを根本から治療しないと、顎関節症、腰痛、頭痛、肩こりなどを発症する可能性があります。

セラミックは経年劣化しにくい素材でできていますが、寿命は10年程度と言われています。セラミック矯正は自費診療となるため、セラミッククラウンを作り直すたびに安くない治療費がかかってしまいます。クラウンの取り換えで歯をさらに削ることになるため、歯がよりダメージを負うことになります。

さらに、歯根の先で炎症を起こしていると、クラウンの取り換えが刺激になってより症状が進行したり、痛みが出たりする原因になります。

セラミックで作られたインレー（詰め物）やクラウンは、レジンや金属のものよりも精度が高く、寿命も長いため、虫歯治療などにはオススメできます。しかし、矯正治療としてセラミッククラウンを利用するのは、将来のお口の健康を考えると止めた方がよいでしょう。

装置の見た目や通院回数が気になって歯列矯正に踏み出せない方に、マウスピース矯正をお勧めしています。矯正装置が透明なマウスピースなので、周囲にも気付かれにくいです。また月1の通院が必要なブラケットと比べて、2～3ヶ月に1度の頻度で済むのも嬉しいポイントです。